注文住宅の予算の決め方は?費用の内訳・相場や失敗しないコツも解説

本記事では、初めてマイホームを計画する人でも安心できる予算の決め方を解説します。

「初めてマイホームを計画したいけれど、予算はどのように決めれば良いの?」「私の年収で土地付マイホームって購入できる?」という声をよく耳にします。

マイホームを検討している人のなかには、このように予算の決め方に迷っている人も少なくありません。

【この記事でわかること】
 ● 注文住宅の平均購入額
 ● 注文住宅における予算の決め方5ステップ
 ● 注文住宅の費用内訳
 ● 注文住宅の一般的な費用相場
 ● 予算を決める際に失敗しないコツ

 

そもそも注文住宅の諸費用とは?

注文住宅の平均購入価格を全国平均・熊本県・福岡県・東京都の4項目で比較しましょう。

全国熊本県福岡県東京都
注文住宅建設費3,570万円3,384万円3,479万円4,286万円
土地付
注文住宅
土地
取得費
1,445万円909万円1,180万円3,414万円
土地付
注文住宅
建設費3,011万円3,092万円3,215万円2,691万円
土地付
注文住宅
土地
+建物
4,456万円4,001万円4,395万円6,105万円

※単位:万円(小数点第1位を四捨五入)
※参考:2021年度集計表|住宅金融支援機構

データを見ると、注文住宅・土地付注文住宅とも、熊本県は全国平均よりやや低め、福岡県はほぼ全国平均、東京都は非常に高めであると分かります。

特に、東京都における土地取得費は福岡県と熊本県の3倍以上であり、首都圏や都市部における土地価格が、マイホームを購入する際の懸案事項であるといえます。

 

注文住宅における予算の決め方5ステップ

 

ここでは、注文住宅における予算の決め方を解説していきます。

  • STEP1. 住宅購入に使う自己資金の金額を決める
  • STEP2. 年収を基準に住宅ローンの月額返済額を決める
  • STEP3. 注文住宅を購入する際の限度額を設定する
  • STEP4. 土地と建物にかける費用のバランスを考える
  • STEP5. 総予算が適切か最終確認する

上記5ステップを解説していきます。

 

STEP1. 住宅購入に使う自己資金の金額を決める

住宅購入で自己資金を検討する際の注意点は、現在貯蓄している預貯金を全て投入してはいけないことです。
生活していく上で必要になるお金や、病気をはじめとしたリスクに対処するためのお金など、ある程度の資金は残しておかなければなりません。

将来的に残しておきたい具体的な貯蓄を紹介します。

  • 家族を含めた病気に備えるための貯蓄
  • 災害に備えるための貯蓄
  • 子どもの教育費用
  • 両親の介護費用

上記の4点に対して、なるべく生活費1年分程度の貯蓄は残しておきましょう。

その上で、マイホームに充てられる自己資金を割り出すことが重要です。
双方の両親や、祖父母から住宅取得資金贈与の援助が見込める場合は、各家庭によりますが1,000万円前後の自己資金がプラスできるので、検討してみてください。

 

STEP2. 年収を基準に住宅ローンの月々返済額を決める

無理のない返済負担率(※1)は、一般的に25%以下とされています。

返済は30年程度の長期に及ぶため、現在の年収だけで判断しないように注意が必要です。
年収が増える分には問題ありませんが、減収になる場合も想定して積立貯蓄なども計画しておきましょう。

また、給与収入だけに頼らない副収入などの手当も、可能であれば検討してみてください。
例えば、使用しなくなった実家を賃貸にするなど、自分が働かなくても収入を得られるような仕組みができれば理想的です。

※1:年収に対するローン返済額の割合

 

STEP3. 注文住宅の購入に支払う限度額を算出する

注文住宅を購入する際の限度額を、事前に決めておくことも大切です。

一般的には年収の4倍程度といわれていますが、個々の貯蓄・収入状況に合わせて考えておく必要があります。
土地を合わせて購入するのか否かも、マイホームを計画する際の大きなポイントです。駅近や都市部の土地を購入する場合は、年収の7〜8倍程度が目安と認識しておきましょう。

おすすめの方法として、返済年数を20年でシミュレーションし、返済負担率が25%以下に収まるような総額を目指してみてください。ただし、必ずしも20年返済を組むという意味ではありません。20年でシミュレーションして25%以内を目指すといった意図を指します。

可能であれば、年収から賞与などは控除して、通常の給与収入だけで返済負担率が25%以内に収まるような計画が組めると、理想的です。

 

STEP4. 土地と建物にかける費用のバランスを考える

土地付注文住宅の費用のバランスは、一般的に土地価格3〜4割、建物価格6〜7割の比率が理想といわれています。

とはいえ、土地付注文住宅を計画する際の土地選びは、最重要項目といっても過言ではありません。ここでは、土地選びが大切な理由をいくつか解説します。

  • 建物の価値は減価償却するが、土地は目減りすることが少ない
  • 駅距離を含めた利便性は、日々の生活を豊かにするために重要である
  • 高齢になって車の運転が困難になった際に、駅近の土地であれば問題が少ない
  • 土地は担保対象になりやすい
  • 土地は相続しやすい

首都圏や都市部の土地価格が高いのも、上記のような要件を反映しているからといえます。
土地選びを最優先に検討される方は、土地価格と建物価格を5:5程度の割合にすることも検討してみてください。

 

STEP5. 総予算が適切か最終確認する

マイホームの総予算が適切かどうか、以下の基準で最終チェックしましょう。

  • 自己資金は無理のない範囲で手当てできているか
  • 住宅ローンの返済比率は25%以内になっているか(なるべく20年返済)
  • 購入価格目安は注文住宅が4倍、土地付注文住宅は7〜8倍程度を目安とする
  • 土地条件を優先する場合、駅近や都市部では土地と建物費用負担を5:5程度で検討

以上の点を最終的にチェックし、余裕がある購入計画を立てるようにしてください。

 

注文住宅の費用内訳

ここでは、注文住宅における費用内訳を解説します。

  • 土地購入費
  • 本体工事費
  • 付帯工事費
  • 諸費用

前述のとおり、東京や大阪などの都市部とそれ以外の地域では、土地価格が費用総額に占める割合が異なります。
東京などの都市部は50%程度、それ以外の地域では30%程度と考えておけば良いでしょう。

一方、建物の費用の構成割合はどの地域でもおおむね共通しています。本体工事70%・付帯工事20%・諸費用10%程度と認識しておいてください。

 

土地購入費

土地付注文住宅の場合、土地購入費は最も重要な費用項目です。なぜなら、土地は最大の担保物件であるため、住宅ローンを利用する場合に必要となるからです。
物理的にも土地がなければ建物は建てられないので、今後の生活利便を決定する大切な要素のため慎重に選んでください。

土地購入には、土地代金以外に以下のような諸経費が必要です。

  • 仲介手数料
  • 印紙代
  • 登記費用
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税
  • ローン保証料・融資事務手数料

おおむね、諸費用は土地代金の10%程度と認識しておくと良いでしょう。

 

本体工事費

建物費用の70%程度を占めるのが本体工事です。
本体工事には、以下のような工事が含まれています。

  • 共通仮設工事
  • 基礎工事
  • 建方工事
  • 木工事・内装工事
  • 外装工事
  • 設計・工事管理

設計事務所に発注する場合などは、設計・工事監理費用が本体工事に含まれず、依頼した設計事務所に発注することになります。

 

付帯工事費

工事費全体の20%程度を占めるのが、付帯工事です。
付帯工事には、以下のような工事が含まれています。

  • 外構工事
  • 屋外給排水ガス工事
  • 照明・エアコン・キッチンなどの設備設置工事
  • 地盤改良工事(改良が必要な場合)

予算オーバーした時などに調整できる費用項目が多く計上されているのが、付帯工事費用です。

自分が望んだものではなく建築業者やコーディネーターが最初から見込んでいる工事の場合もあるので、しっかり中身をチェックしましょう。

 

諸費用

土地と同様、建物についても10%程度の諸費用を見込んでおかなければなりません。
建物にかかる諸費用としては、以下のような項目があります。

  • 印紙代
  • 登記費用
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税・都市計画税
  • 消費税
  • ローン保証料・融資事務手数料
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 団体信用生命保険料
  • 地鎮祭・上棟式費用
  • 引越し費用
  • 家具・調度品購入費用

以上のような諸経費が必要となり、自己資金で手当する場合があるので注意しましょう。

 

注文住宅の一般的な費用相場

 

ここでは、注文住宅・土地付注文住宅の一般的な費用相場、年収倍率を解説します。

全国熊本県福岡県東京都
注文住宅建設費3,570万円3,384万円3,479万円4,286万円
注文住宅世帯年収602万円528万円555万円733万円
注文住宅年収倍率5.9倍6.4倍6.3倍5.8倍
注文住宅返済比率21.5%22.5%22.4%21.7%
土地付
注文住宅
土地
取得費
1,445万円909万円1,180万円3,414万円
土地付
注文住宅
建設費3,011万円3,092万円3,215万円2,691万円
土地付
注文住宅
土地
+建物
4,456万円4,001万円4,395万円6,105万円
土地付
注文住宅
世帯年収639万円584万円617万円798万円
土地付
注文住宅
年収倍率7.0倍6.9倍7.1倍7.7倍
土地付
注文住宅
返済比率24.9%24.8%25.4%26.5%

※単位:万円(小数点第1位を四捨五入)
※参考:2021年度集計表|住宅金融支援機構

注文住宅の費用相場を2021年度住宅金融支援機構の集計表でみると、全国平均3,570万円、熊本県3,384万円、福岡県3,479万円、東京都4,286万円でした。

年収倍率は、全国平均を含めどのエリアもおおむね6倍前後です。一般的に理想とされる年収の4倍程度で建築費を抑えるのは、現状ではかなり困難だとわかります。
土地付注文住宅の場合の年収倍率は、熊本・福岡両県及び全国平均は7倍前後、土地価格の高い東京では8倍近くです。

また、土地付注文住宅を購入される人の平均年収が、注文住宅だけを建築される人の平均年収に比べて1割程度高い点も特徴的だといえるでしょう。

土地付注文住宅の場合、いずれのエリアにおいても建物に充てられる費用を、注文住宅だけを建てる人に比べて低く抑えている点も見逃せません。
土地を購入する分、建物面積やグレードを抑えて、トータルの総費用を返済可能なラインまで抑えようとしていることがわかります。

以上の点を踏まえ、年収倍率の目安を注文住宅の場合6倍以内、土地付注文住宅の場合は7倍程度に抑えるように計画してみてください。

 

注文住宅における予算の決め方で失敗しないコツ

 

ここでは、注文住宅の予算を決める際に失敗しないコツを解説します。

  • 住みたい家をイメージしておく
  • 予算オーバーしたら優先順位の低いものから削る
  • 将来のメンテナンス費用も念頭におく
  • 頭金などに貯蓄を崩しすぎない

順番に見ていきましょう。

 

住みたい家をイメージしておく

住みたい家のイメージが固まったら、イメージを具現化する作業が大切です。
具体的には以下5つの作業を実行すると良いでしょう。

  • イメージを実現する構造(木造、鉄骨、鉄筋コンクリート造など)を把握する
  • イメージを実現するためのデザインと優先して採用したい設備を決める
  • 将来的な家族構成の変遷も踏まえて階数・部屋数・レイアウトを決める
  • 特に採用したい性能を決めておく(耐震等級3やZEHなど)
  • 年収からマイホームに必要な総予算を把握し、大まかな返済計画を建てておく

土地も合わせて購入する場合には、別途利便性を優先するのか、経済性や広さを優先するのかなどを、事前に検討しなければなりません。

失敗しないマイホーム作りを実現するために、事前に上記の内容などを実践してから展示場などでアドバイスを受けることをおすすめします。

 

予算オーバーしたら優先順位の低いものから削る

しっかりとした返済計画に基づき、総予算が決まったら維持することが重要です。

立派なマイホームが完成しても、経済的に生活が圧迫されるような計画はおすすめできません。こうした事態を避けるために、以下の4つの手順を参考にしてみてください。

  1. 建てたいイメージに合わせて、採用したい設備を10項目ピックアップする
  2. ピックアップした項目を、はずしたくない順にランキングを作成する
  3. 展示場やモデルハウスに足を運び、説明を受けた上でランキングを吟味する
  4. どうしても外したくない設備項目3つを決めておく

以上の手順を踏んだ上でもし予算がオーバーしたら、自分で決めたランキング下位の設備から削っていきましょう。選んだ設備の金額によっては、総予算を維持するためにランキング上位の設備を削る必要も出てきますが、上位3つだけは維持できるように調整しましょう。

望んだ設備が1つもないと、満足度はかなり下がってしまいます。3つでも望んだ設備を実現できていると、それだけで満足度は高まるでしょう。

 

将来のメンテナンス費用も念頭におく

返済計画を組む際は、将来的なメンテナンス費用も念頭に入れて計画を立てましょう。
事前に貯蓄できていれば問題ありませんが、月給の中から負担にならない程度に貯蓄することがおすすめです。

13〜15年程度に1回、おおむね建築費の10〜15%程度のメンテナンス費用を目安に、貯蓄計画を検討してみてください。

 

頭金などに貯蓄を崩しすぎない

現在ある貯蓄のほとんどを、マイホームの頭金にするのは避けましょう。

「なるべく早く返済したい」「月々の返済額を低く抑えたい」という気持ちは理解できますが、健全な生活を実践するためには最低でも1年分程度の余力は残すべきです。

子どもの教育費や両親の介護費用だけでなく、自分や家族の健康障害や事故などによるトラブルなど、予想外のことを想定して余裕がある返済計画を立ててください。

 

注文住宅の予算の決め方に関するよくある質問

 

ここでは、注文住宅の予算を決める際によくある質問を紹介します。

  • 見積り後に予算オーバーしたらどうすれば良い?
  • 知識がない状態でいきなりハウスメーカーに相談しても良い?
  • 注文住宅の予算決めは誰に相談すれば良い?

1つずつ見ていきましょう。

 

見積り後に予算オーバーしたらどうすればよい?

前述のとおり、見積り後に予算オーバーした場合でも欲しい設備などに優先順位をつけておき、優先順位の低いものから削っていきましょう。

どうしても残しておきたいもの3つ程度を明確にしておくと、失敗が少なくなります。

 

知識がない状態でいきなりハウスメーカーに相談してもよい?

知識がない状態でハウスメーカーに相談することは、基本的に問題ありません。ハウスメーカーは、依頼主の状況に応じて最も適切に対応してくれます。

とはいえ、自分でも「どのようなイメージの建物にしたいのか?」「どのような設備を必要としているのか?」などを明確にできることが重要です。

自分が実現したい家のイメージ写真やネットの情報でも良いので、事前準備をおすすめします。

 

注文住宅の予算決めは誰に相談すればよい?

注文住宅の予算決めは、やはり販売実績が豊富なハウスメーカーへの相談をおすすめします。

予算のことだけに絞れば、銀行や税理士、FPなどに相談すれば良いでしょう。しかし、具体的に予算を下げる方法は、ハウスメーカーなどでなければ情報が得られません。

経験豊富な担当者なら、「どの程度の予算でどのくらいの返済になるか」「予算内に抑えるためにはどの設備を削れば良いか」を的確に答えてくれます。

 

予算の決め方をしっかり理解して自分好みのマイホームを建てよう

 

注文住宅の予算を決める際に、押さえておきたいポイントやコツを解説しました。

思っていた以上に、家づくりで多くの経費が発生してしまう人は少なくありません。無理のない資金計画を確立できれば、自分に合った家づくりを十分に実現できます。

アラセンハウスでは、づくりのプランだけでなく資金計画のご相談も承ります。経験豊富なスタッフがお客様に寄り添いながら最適なプランをご提案しますので、ぜひ一度お近くのモデルハウスにお立ち寄りください。

 

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